本当の自分を演技する
「”Actor”てあれだよな。役者っていう意味だよな?」
「へぇ、そうです」
俺は考え込んでしまう。
今までも自分を変えたくていろいろなことを試してきた。
その中に『理想の自分を演じる』というものがあった。
思い出されるのはすごく疲れる日々。
自分との解離が悲しくて、辛くて、気持ち悪かった。
「…嘘をつくのは嫌だな」
「ほぉ、演技=嘘やと思います?」
「そりゃ、まぁ…」
コンはふむふむと頷きながらぐるぐると部屋の中を歩く。
そしてピタッと止まると俺の方に振り返った。
「翼さん。演技は本当の自分を伝えるためにするんです」
「え?」
本当の自分を伝えるために?
「いや、意味わかんないです」
ニッコリと笑うコン。
「役者は基本、台本を受け取ってそこから役作りをします。あと嘘つきの代名詞の詐欺師も自分以外の人になりすまして相手を騙します。そのイメージが強くて演技=嘘と思われがちなんです」
コンはピッと背筋を伸ばした。
「ただ元が自分自身の本当の気持ちだったらどうでしょうか?」
「ええ?!」
「例えば人前でプレゼンするとき。この企画を通したい。そのためにどう話したらいいのか?そのプランを立てるのは嘘でしょうか?」
「いや…」
「例えば、大好きな人に愛の告白をしたい。付き合いたい。どんな風に、どんな言葉で、どんな雰囲気で伝えるのか。まるで映画の脚本を書くように、役者の気分で伝えるのは嘘でしょうか?」
「それは…」
「親に感謝を伝えたくて少し芝居じみた手紙を書く、これも嘘でしょうか?」
「…嘘じゃないと思います」
コンはゆっくりとうなずいた。
「そうなんです。みなさん、意識・無意識、大小関わらず結構演技してるんです。それを意識的に使うんです」
はぁ、なるほどね。そういうことか。
俺が想像してたのと少し違ってた。
「それにな、演技とか簡単に言ってますけど役者が伝えるためにどれだけの練習をしているか。翼さんは自分の長所を知ってもらうための努力はどれぐらいしてます?」
「え…そりゃ、それなりには…」
コンは大きくため息をついた。
「ざっくり見まわしただけでも、基本のきの字もできてませんなぁ」
「はぁ?!」
いきなりの指摘に俺はさすがにカチンときた。
「昨日、今日と少し話しただけで何が分かるんだよ!!」
「付き合い浅くても気づく範囲でボロが出てるんです」
笑顔のコンと怒った俺は対峙した。
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こんにちは、S&Aコミュニケーションの友田ときです。
私は元役者です。そこでいろいろな壁にぶつかりました。
そして分かったのは役者とは伝えるプロなのです。
役や台本の意図を巧みに伝えるのが役者の仕事なんです。
…もっと早く気が付いていたら私には別の人生が待っていたかも(笑)
役者が伝えるプロなので経験してきた『役作り』という作業はとても役に立っています。
恋人や友達に見せる顔と、仕事場で見せる顔は違うとか。
人は無意識に役を使い分けている。
それを意図的にもっと自分の魅力を生かす方法を探究する。
それがこの“Actor”の項目なのです。
あやふやなものをかなりはっきりと伝えていきますのでご覚悟を(笑)
質問疑問があればぜひコメントくださいね。
また内密に…という人はお問い合わせフォームのリンクを載せておきます。
※S&Aコミュニケーションはおときさんの自分観察研究所のプロジェクトの1つです。