佐藤翼と白い狐
上司に怒られる。
同期がほめられている。
自分の仕事は認められない。
飲み会に誘われない。
友達のFacebookが賑わっている。
そういや最近LINEが鳴らない。
多くなる淋しい休日。
そんなことが続くと人はコミュニケーション能力を上げたいと願うことが多くなるもので、佐藤翼もそう思う1人だった。
その手のビジネス本も買ったし、笑顔で挨拶をしようともした。
しかしいつもいつも失敗ばかり。
嫌になる、と日が高いうちから自宅で飲み始め、そして何本目かのビールの缶を高々と上げた。
「誰か俺のコミュニケーション能力を上げてくれよ!!」
「手伝いましょか?」
一人暮らし一人飲みのはずなのに突然返事があった。
前を見ると白い動物が一匹。
「…なんだ?お前は?」
「京都に縁のある狐です」
「きつね?!」
独特の訛りがある言葉を話す狐。さすがに飲みすぎたかな、と翼は思った。
「うちは『縁』に関する神さんの眷族の狐です。たまたまこの近くを通ったらあんたさんの嘆きが聞こえてきましてな。…大変だったんですな」
『大変だった』その言葉に翼は反応した。
そうだ自分は大変だったのだ。
「お、俺だって上司に認められたいよ!
口だけの先輩のどぎもをぬいてやりたいよ!!
そして自信を持ってあいつに告白したいよ!!」
そこまで叫んで視界がゆがみ始めた。
「ぜ、全部コミュニケーション能力がないせいだぁぁぁぁぁ!!」
大泣きし始めた翼。
「それならうちがお助けいたします。助け、必要やんな?」
「お願いしますぅ、助けて下さいぃぃぃ!!」
「ほな、契約成立や。」
その言葉と一緒に狐が悪い笑顔を作ったような…それに翼は気づいていなかった。
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みなさん、はじめまして。
S&Aコミュニケーションの友田ときです。
正直に言いますと、私もあまりコミュニケーションは得意ではありません。
「コミュニケーション能力が欲しい!!」とあがいてきた人間です。
ただ現在は「コミュニケーションが苦手で…」というとツッコミが入るようにまで成長しました(笑)
私が学んだことの中で特に重要な柱は”Actor”と”Scientfic”の二つです。
さてどういうことでしょうか?
翼くんと白狐のコンちゃんの二人を通してお伝えしていきますね。